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2010年10月 アーカイブ

体温と眠気

眠気は、高等動物の内部環境を特色づける高い体温と、その日周リズムとに深い関連をもっています。


体温調節のシステムは生物時計の指令にたいへん忠実で、1℃以内の範囲ではありますが、体温の変動には人ごとにかなり安定した日周性があります。


そして、体温が低くなると眠りやすくなり、体温が高くなると眠りにくくなるという関係が確立しています。


つまり、体温の下降期が就寝時刻となり、体温の上昇期が起床時刻となるように、二種類のリズムが相関しているわけです。


体温は睡眠期と覚醒期の始まるまえに上下して、状態の切り換えにそなえています。


たいていの人は、22時から2時のあいだに眠気をもよおして寝床に入ります。


夕刻ピークに達した体温は、このころしだいに下りつつあります。


身体は何となくだるくなって、何かをしようとすると、努力しているという実感は強いのですが、能率はあまり上がりません。


おもしろいことに、いわゆる朝型と宵型の人のちがいは体温リズムの時差に密接に関連しています。


つまり、体温のピークが早めにくる人は、比較的早く眠くなり、朝早くめざめ、午前中のほうが調子がよい、という傾向があります。


逆に、宵型の人は体温のピークが数時間遅れ、しかも高低の落差が大きくなっています。

ノンレム睡眠と体温

深いノンレム睡眠と体温とは、とくに密接な関係にあります。


また、羽毛 布団と睡眠も密接な関係にあるのです。


マラソンランナーは大量の熱を発生させながら長距離を走ります。


レースのあとの眠りには、深いノンレム睡眠がふえることが報告されています。


寝るまえにゆるま湯につかって体温をわずかに上昇させておくと、寝つきがよくなり、深いノンレム睡眠がふえます。


次回ふれますが、細菌やウイルスに感染して、発熱がおきるとき深いノンレム睡眠を促進する物質が脳内に放出されます。


・・・こんなことも、内部環境の現状に対応した眠りとして新たに深いノンレム睡眠が発達してきたことを示唆しています。


つまり、新しい型の睡眠は、体温が上がりすぎないように活動を抑えるという生理的役割を担っているのではないでしょうか。

食べ物と眠気

俗に腹の皮が突っ張ると目の皮が弛むといいます。


コヴァルゾンという科学者によると、むかしロシアの人は、胃袋とまぶたとのあいだに紐が通してあるので、胃がふくらむと紐が引っ張られてまぶたが閉じる、と説明していたそうです。


それはともかく、満腹になって、満ち足りた気分になると、緊張が溶け、意識水準が下がり、眠気を生じます。


羽毛 ふとんは心理的な効果ばかりでなく生化学的にみても、胃から吸収された栄養素や異物が、分解されて睡眠誘発効果のある活性物質の原料となったり、睡眠誘発に関係するホルモンの分泌のひきがねとなったりすると考えられるようになりました。


いずれも、脳に到達した物質のひきおこす作用の結果です。


寝るまえに空腹なら何か食べておくと、入眠を助けることがあります。


世間では、トリプトファンというアミノ酸をたくさん含む食品を食べるとよく眠れるとか、カルシウムを含む食品もよいといわれています。


トリプトファンは睡眠情報を伝える神経伝達物質の一つ(セロトニン)の原料になる物質です。


また、カルシウムはいらいらを鎮めるとされているからです。


いっぽうでは、タンパク質性の食品には反対の覚醒促進効果がある、と主張する研究者もいます。

お酒と眠りの関係

ナイトキャップが用いられるのは、アルコールのもつ催眠作用や鎮静作用に期待するからです。


いっぽう、寝るまえに満腹だと睡眠はおおいに影響を受け、よい眠りは期待できなくなることがあります。


覚醒作用のあるカフェインを含むコーヒーや茶などの飲物も、眠気の妨げになります。


喫煙はタバコ常習者には気分を安める効果はあるにせよ、ニコチンの覚醒作用の影響を免れません。


アルコール飲料は、催眠効果ばかりか覚醒効果も伴うので、量が多いと睡眠が中断してしまううえに二日酔いを招くことになります。


コレージュ・ド・フランスの睡眠研究者ジャバー・ダンギール博士は、羽毛 フトンや栄養の豊富な食物を与えるとラットがよく眠り、低栄養食を与えるか断食をさせると睡眠量が減る、という事実を見いだしました。


これには、代謝ホルモンのインスリンや、成長ホルモンと拮抗するはたらきのあるソマトスタチンの分泌がからんでいます。


この話は、あらためて次の機会でいたしましょう。

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